北海道新聞オホーツク面「ときわぎ」平成21年(2009)5月9日

ひとり多機能時代

春、新学期、組替えにドキドキした。ところが、このご時世、市街地の小学校でも一クラスという学校が増えてきた。子どもの数が少なく、親の世代の半分もいないのだ。年々増える塾や習い事、スポーツ少年団、イベントでは、子どもの取り合いといった状態になっている。子ども一人に父親母親、祖父母に親戚と、おとな七〜八人がぞろぞろと付き添う姿もめずらしくない。

一方、親だって負けていない。母が勤め、父も家事をするのは当たり前。近所に子どもがいないから友だちになって遊び、対等の関係で話をする。遠く離れて暮らしていると親戚もいないから、客観的な意見をくれるおじさんやおばさんの役もこなさなければいけない。現代の親業は、職場と家庭、それに加えて親戚関係や子ども世界にも登場して役割を演じなくてはならない。ああいそがしい。

日本はこれから人口が減る。経済もこれまでのような成長は見込めない。縮小社会に入ったことは間違いない。それは気候変動よりも明らかだ。これまでのような日常を維持すること自体がたいへんなのだ。かつての世界を当然を思い込むから、ひとりにいろんな仕事がふってくる。

さて、黄金週間。今年は9月にもあるそうな。休みは休むためにある。自分を見つめるためにある。この国の将来を考える時間がきますように。


<前へトップページ著作と経歴後へ
Copyright (C) 2009 宇仁義和  unisan@m5.dion.ne.jp