北海道新聞オホーツク面「ときわぎ」平成21年(2009)3月6日

雪かきで心あたたか

今年は雪が少ない。うちの庭では、屋根からの落雪が小さな山脈をつくる。窓ガラスを割らないようにと、例年だとこの雪山を三回は取り除く。ところが、今年はまだ一回ですんでいる。それから、隣の家とのすきまにあるストーブの煙突には、地面にとどく巨大な氷柱がぶらさがる。が、暖かいのでそれもできない。

とはいっても、網走の冬に雪かきは欠かせない。降り積もった朝は、ちいさい除雪車が通ったあとの歩道も平スコップできれいにさらっている。子どもが学校に行くようになって初めて気づいたのだが、通学や通勤で行き交うがけっこういるのだ。玄関の向きの関係で、朝の歩道を見過ごしていた。国道で除雪もちゃんとしているし、たいして歩く人もいないだろうと。

確かに道路の除雪は道路管理者の仕事といえる。けれども、商店や会社の前では、総出で雪かきする姿がよく見られる。営業の意味もあるのだろうが、きれにするのは気持ちがいいし、一度始めると、靴をぬらす人の姿が思い出されて、ほったらかしにはできなくなる。雪をよけておくのは、そこに住む人、過ごす人の務めとして行っているのだろう。

働くとは稼ぎ、職務のことだ、そう思う人ばかりになると世の中きっと住みにくい。どんな仕事をしていても、人の務めを働く時間があってもよいと思うのだ。きちんと雪かきしてある歩道は気持ちがよい。心まであたたかくなるものだ。


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