支庁から網走の名前が消えるという。新しく採用されるオホーツクは、元来ロシアの地名だし、世界的にはいまでもそう思われている。カタカナだから中国語にもなじまないし、国内の旅行者にとって魅力があるのは釧路や根室、阿寒を含めた道東だろう。観光客は行政区分なんて気にしないから、支庁ごとの観光施策は不要で、ブランド戦略ならば東北海道とすれば、北海道全体にも好都合と思うのだ。
平成の大合併で、群馬県みどり市や栃木県さくら市、山梨県南アルプス市など、地域の歴史に無関係な自治体名がいくつも生まれた。愛媛県四国中央市は将来道州制が導入された際、その州都となることを見込んでいるという。破談になったが、近くでは東知床市というのもあった。網走のブロイラーにも知床の名前がちゃっかり使われている。人気のある地名はどんどん拡大成長していく。
反対に消えていく地名は数知れない。統合してできた新しい学校の名前には地名が与えられない。使われなくなった地名は次の世代に伝えられず、やがて忘れられてしまう。足して二で割ったような新しい市や町の名前、売り出し中の住宅地のような名前が全国にできていく。すべてが無味乾燥な世界へと進んでいく。
ところで、新聞で東京都という文字を見つけ、「ひがし京都ってどこや?」と聞いていた同級生がいた。文化の中心地で育つと発想が違うらしい。