しめ縄は門松とならんで、お正月を迎える玄関に欠かせない飾り物だ。もともとは神道のもので、神聖な場所の境界を示す役割を持ち、けがれを防ぐ意味もある。神道のお社やご神木に張ってあるのはそのためだ。
このしめ縄を手作りしようという講座を今年も開催した。米どころ秋田県の出身の米寿を迎えた長老が講師を務める。若いころから、わらじや雪靴など生活道具を作ってきた手仕事の伝承者だ。稲はつてを頼って石川県から送ってもらった。北海道の稲は背丈が低く、わら細工には不向きだから。代わりに青刈りしたスゲやオーチャードなどの牧草が活躍する。
常連さんは軒(けん)じめや輪じめ、スゲを使ったごぼうじめを上手に完成させるが、初参加の小学生にとっては、わらをなうだけでもたいへんだった。結局作品づくりまでは至らなかったが、手のひらを道具として使った体験は忘れないでいてほしい。
しめ縄づくりは、一年の終わりを実感させるひときわ季節感豊かな講座である。バタバタと過ごした日々を反省するタイミングでもある。不安な世紀末から希望の新世紀に、けじめを付ける年の瀬にしたい。