北海道新聞オホーツク面「ときわぎ」平成22年(2010)12月16日

琉神マブヤー

琉神マブヤーとは沖縄で話題沸騰のローカルヒーローである。バイクに乗らない仮面ライダー、あるいは1人しかいないゴレンジャーみたいな戦隊ものだ。昨年秋にBSデジタル放送11チャンネルで全国放送されたので、ご覧になった方もいるかも知れない。インターネット情報によれば、このご当地キャラクターは男の向けの沖縄みやげ品として発想されたものらしい。

商売が先にあったわけだが、実際のテレビ番組はお笑い風のドラマのなかから、沖縄の心や言葉、そして文化をたいせつにしようという気持ちが伝わってくる。素直にひびくメッセージによって、子どもからおとな、お年寄りまで地元ではマブヤーの話題で事欠かないほど幅広いファン層を得ることになった。

こんなうんちくを仕入れた後、我が家にも放送対象年齢の男子がいるので、筋書きどおり沖縄みやげにDVDを購入した。一話実質約九分、いかにも地方局制作の質素なつくりだが、見入ってしまう魅力がある。

青い空、強い日射しに赤瓦、登場人物の掛け合いは絶妙の間合いだし、相方はシーサー、悪役もハブやマングース、オニヒトデがモデルになっていて、すでにそこからおもしろい。沖縄言葉満載のため、ご親切に標準語の字幕が出る。

マブヤーは距離を飛び越え、我が家に沖縄を連れてきた。等身大ヒーローは、何よりも強い伝道者だ。北海道だと、それはヒグマなのかなあ。


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