A report on the experience of stranding coordinator in Aidomari.
Yoshikazu Uni (Uniユs office of Nature-human Interaction Studies)
北海道目梨郡羅臼町相泊(めなし郡らうす町あいどまり)で2005年2月7日に発生したシャチ Orcinu orcaの集団座礁に対して,座礁鯨類対処調整者(ストランディング・コーディネイター)として働いた体験談である.
現地入りしたのは8日で,この日から役場職員との共同作業が始まり,夜までに役場環境課が死体回収を手配した.翌9日は早朝からダイバーと漁船によってシャチを相泊漁港に回収し海水中で保管した.体長体重を目算して必要車両を割り出し,作業日程を決定したのもこの日であった.10日は終日マスコミとの電話対応で終わり,11日に解剖場所を下見し,室温,防風状態,電気,水,トイレ,駐車場所,交通路を確認した.この日の夜に解剖希望者へのメール一斉送信を初めて行ない,シャチの所在・解剖場所の案内・作業日程などを通知した.参加者の顔合せと打合せは13日夜に実施,解剖手順と希望試料の部位分量を確認し,自己紹介を行なった.解剖は14日から開始され,死体を35tクレーンで吊り上げ計量と写真撮影後,大型トレーラーとダンプカーで約50km離れた堆肥化処理施設に搬送した.
解剖場での仕事は人員の適切配置,重機の指示,死体搬入時期の決定,作業伝票へのサイン,新規希望機関との協議,マスコミ対応,不足品の買い出し,終了時間の徹底,特別な事項(町長視察など)への対応など多岐にわたった.特に留意したことは,3日間とした解剖日程を延長しないことで,そのため除肉は不十分であった.コーディネイターの本分とは,役場や業者に向けては解剖参加者を代弁し,逆に解剖参加者には役場や業者の意向を伝え,協力を導き,円満に作業を完遂させることであった.
今回の解剖は羅臼町の全面的な協力により実現した.脇町長はじめ役場職員に感謝したい.また,異常な悪臭や汚れにも関わらず仕事を引き受けられた関係企業と作業員,冷たい海で回収の労をとられたダイバーほか地元住民に敬意を表したい.
なお,コーディネイターとしての役割は解剖場所を撤収した2月17日で一応は終了したが,関係者への連絡(=メール一斉送信)は現在も断続的に行っている.