第101回定期演奏会 曲目紹介

 アントニーン・レオポルト・ドヴォジャーク 交響曲第9番 ホ短調 作品95「新世界から」

 ドヴォジャークのアメリカ時代を代表する作品で、旋律の親しみやすさ、特徴的な楽器の色彩から、 作曲家自身の他の作品と比べても抜きん出て人気な曲となっている。 副題の「新世界から」とはドヴォジャーク自身による新世界アメリカから故郷であるチェコのボヘミアへ向けた便り、という意味を持つ。 よく「アメリカの黒人、インディアンの民族音楽を直接的に借用している」と言及されることがあるが、ぴったりと合致する旋律は見つかっていない。 ドヴォジャーク自身もこのことを否定しており、「アメリカ的な旋律の精神をもって書こうとしたのです」と語っている。

 全4楽章による古典的な交響曲のスタイルを採っている。 特に第2楽章のイングリッシュ・ホルン(コールアングレ)による旋律は「遠き山に日は落ちて」という題名をつけられて様々な形で知られている。 また、これまでの楽章の旋律が集約される第4楽章もその豪快な出だしと途中の儚げな美しさからとりわけ人気が高い。 また様々な映画やテレビのBGMとしても広く親しまれている。


 アントニーン・レオポルト・ドヴォジャーク 組曲 イ長調 作品98b

 この作品は交響曲第9番「新世界から」の初演から2ヶ月ほどした頃に、 ピアノのために5楽章構成の「組曲 イ長調(Op.98)」として書かれたものが原曲である。 このアメリカ組曲(Op.98b)は、最初から管弦楽曲として書かれたものではなく、 ピアノ版の作曲の翌年2月頃にドヴォジャーク本人により管弦楽化されたもので、アメリカ時代の第5作目の作品にあたる。 このアメリカ組曲はドヴォジャークの生前に演奏されることはなく、死後6年経った1910年にチェコで初演され、翌年に出版された。
組曲の主題の多くは世界中で民謡などで使われている五音音階からなり、ボヘミア音楽とアメリカ音楽の五音音階が融合したものとなっている。 また、第1曲の主題は、第5曲の終結部で再現されており、一貫性を持たせ統一された構造の曲である。

 第1曲  Andante con moto 4/4拍子
 第2曲  Allegro 3/8拍子
 第3曲  Moderato (alla Pollacca) 3/4拍子
 第4曲  Andante 4/4拍子
 第5曲  Allegro 2/2拍子

東京農業大学 農友会管弦楽団