第100回記念定期演奏会 曲目紹介

 グスタフ・マーラー 交響曲第1番 ニ長調「巨人」

 現在は交響曲・歌曲の大家とされるマーラーの初期の作品。
元々は交響詩として構想され、後に改訂、交響曲とされた作品。自身の恋愛体験を元にしたとされる連作歌曲集《さすらう若人の歌》との関連が密にあり、マーラーの作品の中でも分かりやすく親しみやすいメロディが特徴。
全4楽章で演奏時間が70分近くと初期からマーラーの交響曲は破格のスケールを持っていた。4楽章を通してカッコウの鳴き声が重要な役割を果たし、交響詩としての名残を持った自然の情景を強く描いているのが特徴。

 リヒャルト・ヴァーグナー 歌劇《さまよえるオランダ人》序曲

  生誕200周年を超えるワーグナーの個性が表れた最初の歌劇にして、初心者向けともされる作品。
しかし、劇的な音楽、救済の思想といった深い精神性も含まれかなりの完成度を誇る。
古くからヨーロッパに伝わる神の呪いによって永遠に嵐の中を彷徨い続けるオランダ人船長率いるフライング・ダッチマン号の伝説が元になっており、この幕開けとなる序曲も強烈な嵐の模様からフライング・ダッチマン号を表す旋律から豪快に始まる。
最後には愛する女性の献身的な愛を持って優美にそして寂寥感を伴って終結する。

 ヨハン・シュトラウス2世 ワルツ《ウィーン気質》

  現在でもウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のニューイヤーコンサートで度々演奏される作品。
今では上演されないものの、この曲を中心に添えて構成された同名の歌劇も当時は大人気を博していた。
ウィーン気質とはその名の通り、ウィーン人の性格・気質であり、特に宮廷文化の盛んだったウィーンの気品さ、高潔さが良く表れている。
曲は堂々としたハ長調、快活な序奏から装飾のついたオシャレな旋律が特徴。4種のワルツを経て、コーダでは第1、第2ワルツが再現される。

東京農業大学 農友会管弦楽団