北海道新聞オホーツク面「ときわぎ」平成19年(2007)12月11日

インフルエンザ

インフルエンザの季節がやってきた。今年は流行するのが早いという。かつては風邪みたいなものと軽く考えられてきたが、いまでは強力な感染症という認識だ。はじめて学級閉鎖を経験したのがこの病気で、小学校六年生のとき。そのとき流行したのはさほど強くないタイプだったらしく、かかったけれども熱もたいして出なかったと記憶している。

本格的なインフルエンザの体験は三十歳のときで、長崎のホテルで三日ほど寝込んだ。熱も三十九度まで上がり、悪寒というのを知った。これが強烈な印象で、人畜共通感染症の調査でカモのふん拾いはするけれども、旅行で九州に行くのはおっかなびっくりになってしまった。

それから十年後の今年三月、出張で行った東京でウイルスをもらってきた。きっと満員電車が原因だ。今度は自宅でもうろうとした頭で昼間からいろんな夢を見た。どんな話だったかは忘れてしまったが、家族とは隔離された別室で夢見の世界にひたって楽しかった。かつて見た風景が鮮烈に現れたり、逆にファンタジックなシーンがなまなましく、自分にこれだけの記憶力と想像力があったのかと驚くほどだった。

そういうわけで、昨日は子どもと一緒にインフルエンザの予防接種を受けてきた。最悪の事態を避けるというのが目的だが、ほんとうの理由は仕事を休みづらいから。世の中忙しくて、看病するのも許してくれないということか。


<前へトップページ著作と経歴後へ>
Copyright (C) 2007 宇仁義和  unisan@m5.dion.ne.jp