北海道新聞朝刊コラム「朝の食卓」平成12年(2000)7月22日

庭木の花

今年引っ越した古い一軒家には立派な庭がある。前の住人が何年もかけていろいろな種類を育てていたのだろう、春先から次々と違った花が咲いて楽しませてもらった。

最初に花を付けたのはクロッカスだった。それからチューリップとシャクナゲ、そしてスズランがたくさん咲いて、6月にはワスレナグサ、サクラソウ、オダマキ、種類はわからないが紫色のキクの花が続き、今月はとうとう真っ赤なバラの花を見つけてしまった。

ライラックの横にはじめて見る八重咲きの白い花があった。一見サクラのようだがもっと大きく、葉は対生(たいせい)でアジサイのような枝の出方。図鑑で調べ、セイヨウバイカウツギと知った。そうしたら不思議なもので、それまで気づかなかったこの花があちこちの家で咲いているのが目にとまるようになった。

こういう覚え方をした知識は本物である。驚きにはじまり、実物を見て本を読み、しかも成果を応用した調査まで行っている。少々大げさだが、この花から正しい学習方法を教えられたように思った。

この花はもう散りはじめ、白い花びらが雪のように積もっている。そう見えるのも、雪が身近な北海道で暮らしているためだろう。


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