CMS Letter

 

日本色覚差別撤廃の会・会報 No.13     20056

                     日本色覚差別撤廃の会  〒465-0024 名古屋市名東区本郷2-83 本郷眼科内

                                           電話 052-773-3569   FAX 052-774-2950

                      ホームページ http://www1.accsnet.ne.jp/~cms/

 

12回総会報告特集

 

 第12回総会は平成17529日(1:00pm4:40pm)、東京・目白デザイン専門学校ミネルヴァ・ホールで開催された。出席者数22名(参考:総会案内発送数285通、返信数86通)。

配布資料1:平成16年度活動報告

配布資料2:平成16年度収支決算書ならびに監査報告書

配布資料3:会員のご意見

配布資料4:学校の色覚検査をめぐる諸問題の総括

配布資料5:村上元彦「色覚検査と人権」日本医事新報 No.4180(20046)別刷

配布資料6:高柳泰世「採用時色覚検査の不当性」日本医事新報 No.4210(20051)別刷

配布資料7:高柳泰世「ボート免許からも色覚検査が消えた」日本医事新報 No.4211(20051)別刷

 

福田総合司会の開会宣言につづき、会長挨拶があり参会者に対して参会の謝辞が述べられた後、議長に佐藤伸直総会実行委員を選出し、議事に入る。

 

議事1.平成16年度活動報告

井上実行委員長より、役員会開催状況、会報発行状況、関係省庁への要望状況についての簡単な報告があった(詳しくは別掲配布資料1参照)。

議事2.平成16年度会計報告

井沢事務局員から平成16年度(平成164月〜平成173月)収支決算報告および石林監査より監査報告があり、一括承認された(別掲配布資料2参照)。

議事3.平成17年度活動方針

平成17年度活動方針について会長より説明があった。

1.         空席であった副会長席に石林紀四郎役員、会計監事に福田萬也役員、事務局長に吉田茂役員がつき、この体制で今年度を運営する。

2.         会報を4回発行する。

3.         インターネット上にホームページを開設する。

4.         会報を従来どおりの会員に送付する。(会則によれば2年度にわたって相互通信が成り立たない会員は事務的に退会扱いとなるが、当分の間、これを執行しない。因みに現在のところ約半数の会員が該当する。)

5.         本会の基本綱領(通称マニフェスト)については、引き続き成案に努力する。

以上について意見交換ののち、活動方針案を承認し、議事を終了した。

 

引き続いて会員小浜清志氏の講演「なぜ作家にしかなれなかったか」があった。

小浜氏は沖縄県八重山出身。八重山高校卒業後、上京。さまざまな職業を経て作家を志す。1988年、文学界新人賞を受賞、1988年と1994年の両年、芥川賞候補。1955年、集英社『火の闇』出版、色覚の体験を綴った『赤いカラス』など作品多数。

講演は神童の評判高かった小浜氏が色覚のゆえに進学の道を閉ざされ、あるいはそれがトラウマとなって自ら道を閉ざしてきた凄絶ともいうべき過去を、作家ならではの語り口で強く訴えるものであった。それがまさしく小学校の色覚検査に始まり、本田技研工業に難関を突破して入社内定しながら、最後に石原表で涙を呑むに至って頂点に達する感があるが、これはもう人権問題である。こうして作家にしかなれなかったが、しかしいまや作家としてこそ、作品を通してこの問題に取り組むことのできる小浜氏がそこにあった。

休憩をおいてつぎに会員鶴見敏男氏の講演「弁護士から見た色覚問題」があった。

鶴見氏は東京・多摩出身の弁護士である。鶴見氏に言わせれば小浜氏同様、「なぜ弁護士にしかなれなかったか」の弁がないわけではなく、小学校の色覚検査にも傷ついてきたが、講演は法律問題に限った。まず色覚問題は差別を生んできたという意味で人権問題であることを憲法各条に照らして明らかにした。その根底にあるのが学校の検査であったことも論証した。ついで最近の話題である個人情報保護条例と色覚問題との関係について、京都市の色覚相談事業の不当性を例にとって解説があった。色覚問題についてプロの法律家から明解な見解を承ることは多分これまで例がなく、たいへん有意義であった。(この二つの講演については会報の次号と次々号において特集とする予定)

講演終了後、意見交換をもって総会を終了した。

 

配布資料1:平成16年度活動報告(平成165月〜平成174月)

【平成16年】

530    11回総会開催 於目白デザイン専門学校ミネルヴァ・ホール(東京:目白)

5X      尾家宏昭・伊藤善規(会員)共著『知っていますか? 色覚問題と人権 一問一答』(解放出版社)発行

64      高柳顧問,日本リハビリテーション医学会において「色覚異常者の現場における能力評価」(東京)発表

65      日本医事新報(No.4180)に村上元彦顧問の時論「色覚検査と人権:文部科学省と日本眼科医会に問う」掲載

69      高柳顧問,八王子ハローワークにおいて事業主対象に「石原表誤読者の人権を守ろう!」講演

615    国土交通省海事局海技資格課長あて「小型船舶操縦士免許にかかわる色覚検査についての要望」提出

618    警察庁官房長あて 警察官採用における身体検査基準から色覚検査撤廃の再度の要望

618    防衛庁官房長あて「自衛官採用における色覚条件に関する質問と要望」提出

620    高柳顧問が十三大都市学校保健協議会において「色覚特性は個性!色覚特性の子ども達の芽を摘まないために」(札幌)発表

627    役員会開催

72      会報発行(第11回総会報告特集号)

7X      日本眼科医会会長,同副会長,同学校保健担当常任理事あて「日本の眼科」756号所載の代議員会速記録に関する質問状発送

79      日本眼科医会学校保健担当常任理事より,上記質問書への回答

724    高柳顧問と宮尾顧問が第45回日本社会医学会において「色覚異常者の就労と人権(国家公務員、警察官、自衛官、JR職員に対する採用制限)」(山口)発表

728    高柳顧問,国際女医会議において「The Problem of Color Defectives in Japan is a Problem of Medical Ethics」(東京)発表

728    高柳顧問,皇后様と面談「日本における色覚異常者の現状」について進言「三法改正」を申し上げ喜ばれた。

728    警察庁長官官房の人事異動に伴い,警察庁長官官房人事課企画官に従来の要望書を再度提出。

729    金子会長、村上顧問、高柳顧問が警察庁長官官房人事課警察庁警部 野村正明 大橋良則人事課企画官 山下→松本光弘 警察官の基準について議論

730    文部省スポーツ・青少年局学校健康教育課専門官に小学校における色覚検査削除の徹底に関する要望書送付

730    国土交通省海事局海技資格課長の異動に伴い「小型船舶操縦士免許にかかわる色覚検査についての要望」を再度提出

730    金子会長、村上顧問、高柳顧問が 国土交通省海事局海技資格課において鈴木試験官および羽尾一郎課長と省令にある「色盲または色弱でないことの文言」改正を約束

730    金子会長、村上顧問、高柳顧問が文部科学省スポーツ青少年局学校健康教育課 岩崎容子専門官と面談、色覚検査削除の徹底に関して要望

86      日本色彩研究所主催「バリアフリー・デザイン」講習会に金子会長が「色覚異常とカラーバリアフリー」と題して講義     

87      役員会開催

810    朝日新聞朝刊「生活元気」欄に田辺編集委員(会員)担当記事掲載。

825    神奈川県下全35教育委員会に学校の色覚検査実施状況について井上清三会員が電話調査実施。

828    高柳顧問,日本リハビリテーション医学会中部・東海地方会において「色覚検査がバリアを作る」(名古屋)発表

91      国土交通省小型船舶操縦者法施行規則一部改正省令案についてパブリック・コメント募集

99      高柳顧問,一宮市ハローワークにおける公正採用人権啓発推進員講習会においてビデオ「色のバリアフリーをめざして」上映後「色覚検査と人権問題」を講演、相模亭うっかり師匠「障害は個性」出演(稲沢)

918    役員会開催

928    神奈川県愛甲郡清川村教育委員会あて,就学時健康診断における色覚検査実施に関して質問書発送。

925    NHKの番組「生物 染色体と遺伝子」に抗議(917日 午後3:30より教育テレビにて放送,飯嶋信一会員より通告)

925    高柳顧問が東海学校保健学会において「学校における目の健康管理:視力、色覚に関する正しい知識の啓発」発表(静岡)

928    NHKより前記番組担当者が会長宅来訪。陳謝。

105    小型船舶操縦士に係る弁色力検査の基準および検査方法の改定決まる

1020   高柳顧問,農林中央金庫においてビデオ「色のバリアフリーをめざして」上映、 「色覚検査と人権問題」講演、相模亭うっかり師匠「障害は個性」出演

1023   役員会開催

1029   金子会長,日本色彩研究所主催「バリアフリー・デザイン」講習会に「色覚異常とカラーバリアフリー」と題して講義

1030   伝情報告知の年齢」について発表(福島郡山市) 

11月1日     朝日新聞東京版(夕刊),全国学校保健・学校医大会における高柳顧問の発表を報道(小学校における色覚検査実施状況について)

1111   臨床眼科学会で高柳顧問,長屋顧問,安間顧問「色覚検査と医の倫理」と題して研究発表(東京)

1112   朝日新聞「声」欄に前記記事に関する会長投書,「進路を阻んだ色覚検査今も」と題して掲載。

1113   高柳泰世顧問と宮尾克顧問,「色覚検査と人権問題」と題して日本学校保健学会(新潟)において発表

1127   役員会開催と会報 No.11の発送

1127   高柳顧問,日本産業衛生学会東海地方会において「小型船舶操縦士の弁色力の見直しの歴史について」発表(静岡)

1213   高柳顧問,愛知県医師会産業医研修会においてビデオ「色のバリアフリーをめざして」上映「色覚検査と人権問題」を講演、人権落語家相模亭うっかり師匠が「障害は個性」出演(愛知県医師会館)

1215   警察庁,人事院,防衛庁,JRに採用人事における色覚条件について質問と要望を提出

1231   鈴木聡志会員,論文「石原式色覚検査表の開発における心理学の役割」を学術誌 『心理学史・心理学論』No.6に発表

【平成17年】

11      日本医事新報No.4211炉辺閑話欄に「ボート免許からも色覚検査が消えた」と題する高柳顧問の寄稿文,掲載

115    高柳顧問,大阪府教職員組合養護教諭対象「色覚特性の児童と出会ったら」講演(大阪)

122    役員会・総会実行委員会開催

124    JR東日本健康推進センター副所長より1215日づけ質問への回答

125    NHK215日放送番組『おはよう日本』の内容(カラーバリアフリー)について抗議文送付

226    役員会・総会実行委員会開催。会報No.12および平成17年度総会案内発送

33      人事院人材局試験専門官室企画官および専門官が本郷眼科来訪

39      NHK名古屋放送局報道部長と金沢放送局放送部長より225日づけ抗議に文書による回答あり

423    役員会・総会実行委員会開催。

 

配布資料2:平成16年度収支決算書

 

収入の部                  

 

  支出の部    

昨年度より繰越 

675,425

 

11回総会経費

38,457

利子

6

 

交通費

81,980

寄付

299,000

 

通信費

9,790

合計

974,431

 

会報・総会案内作成

37,246

 

 

 

会報郵送代

80,980

 

 

 

雑費(文具等)

4,536

 

 

 

手数料(振込等)

4,595

 

 

 

印紙代

200

 

 

 

書籍等購入

62,500

 

 

 

次年度繰越

654,147

 

 

 

合計

974,431

 

監査報告

平成16年度会計監査の結果 上記内容に相違ないことを確認しました。

                             平成17529日  

                             会計監査役   石林紀四郎  印

 

配布資料3:会員のご意見

CMS Letter とインターネット

    広く現状を知ってもらうために、CMS Letter1からネット公開していただきたい。

    以前はインターネットのホームページがあったはずですが、再び始める予定はないのでしょうか。会の活動を一般に広めるのには必要なことと思います。今後の会の発展のためにも、是非,会のホームページを作ってください。

    いつも心強く会報を拝見しております。特に今回「日本医事新報に高柳顧問の記事」という項目で、二つの記事の内容をぜひ知りたいと思いましたが、総会は遠方のため、いかれません。会のHPはありましたでしょうか?総会の詳細等をHPにアップしていただくと嬉しいです。

    CMS Letter今回も有難く拝読させていただきました。ドップリと差別漬けの生涯を送らされた大正生まれの人間として差別撤廃とバリアフリーへ向けてのご尽力には、深く感謝申し上げております。

差別問題

    高校の生物の教科書と参考書の伴性劣性遺伝の例の「赤緑色盲」を消してもらいたいです。もっと健常者が偏見を持たない他の例を見つけて出してもらいたいです。書店に行って教科書と参考書を見てみると多くの本は「赤緑色盲」は赤と緑の区別が出来ないと表現しています。こんな表現では、健常者は誤解します。文部科学省は何をやっているのでしょうか。差別主義者です。文部科学省は!私はそう思います。

    社会にある差別意識を完全になくすまで今後も継続的に活動していくことを共に願っています。

    社会的弱者、少数派の意見、立場、お考えを今後も発信していただきますようお願い申し上げます。

バリアフリー

    会の活動に賛同致します。遠方にて、出席出来ず残念です。この会を知って、自分なりに差別について考える機会を得ました。障害者は多くいますが、外見的にわからず、検査にてわかるので、私の近視や乱視よりわかりにくいのに残念です。長野県境の↑×の信号はすばらしいです。全国世界に広まる事を希望します。

    施設面(信号燈の改善など) 誰にでもわかる標示方法などでの改善にも積極的に対処していってほしいです!

家族のこと

    息子は現在、カナダにてパイロット養成スクールに通っております。昨夏カナダでスクール入学の際の検査した所、色覚異常ではありませんでした。只今、24歳になります。小学校の時一度だけ異常と診断されたみたいです・・・母

その他

    総会欠席者に総会の内容報告はないのでしょうか。

 

 総会資料4〜7は長文のため割愛させていただきます。資料をご希望の方は、事務局までお問い合わせ下さい。

 

JR東日本から回答来る

昨年12月に出した要望書に対して、JR東日本から回答が届きました。

日本色覚差別撤廃の会 金子隆芳殿

 

前略 お手紙に対してご回答いたします。

JR東日本の新規採用につきましては、運転関係従事員として職務に従事することを前提としての採用となっており、運転関係従事員となるためには、国土交通省令で定める身体要件をクリヤーしなければならないそうです。

JR東日本では、選考採用時の適性検査につきまして、従来から実施していた胸部レントゲン検査、血液検査などを廃止するなど必要最小限の検査に限定し、人権に十分配慮することとしているようですが、国土交通省令に規定されている以上、必要最小限の適性検査は実施する必要があるようです。また、JR東日本においては、輸送の安全を第一としている状況から、適性検査の運用も厳しく扱う必要があるとの考えのようです。

現在の検査方法につきましては、眼科の専門医とも相談のうえ、省令に対応する現状におけるベストな検査法として採用しているもので、省令の動きを見極めつつ、今後とも勉強させていただきたいと考えております。

以上、事情をお汲み取りいただきますようお願いいたします。

なお、国土交通省の省令では、色覚に関して、「色覚が正常であること」と規定されております。

 

平成17124

JR東日本健康推進センター 副所長 横田和彦

 

これに対してつぎのような質問書を出しました。

JR東日本健康推進センター 副所長 横田和彦殿

日本色覚差別撤廃の会代表 金子隆芳

 

当「日本色覚差別撤廃の会」からの要望に対して、貴職より124日付けご回答をいただきました。

先にも述べましたが、当会は眼科的検査で色覚異常とされた者(端的に申せば石原式色覚検査表の誤読者)でも、広く社会に活動の場を得られるべく、人権的にも強く望んでいるものです。その観点からご回答に対して重ねてお尋ねします。

1.「JR東日本の新規採用については、運転関係従事員として職務に従事することを前提としての採用となっており」とありますが、昔はともかく、職務多様化の現代では理由のない精神主義的建前としか言いようがありません。これは即、石原表の誤読者を門前払いするもので、極めて遺憾です。JR東日本の御社の社員全員に運転資格が必要と本当にお考えですか。

2.「現在の検査方法は、眼科の専門医とも相談のうえ、省令に対応する現状におけるベストな検査法として採用しているもの」とありますが、それはどのような検査ですか。EBM (evidence based medicine)の見地からみて、眼科検査に運転適性検査としてのエヴィデンスがあってのことか、お尋ねします。換言すれば国土交通省令による「色覚が正常であること」とは眼科学的正常でなく、職業適性としての産業医学的正常であり、したがって検査は職業適性検査としてのエヴィデンスに基づいたものであるべきではありませんか。

3.厚生労働省は雇入時健康診断の色覚検査の義務づけを廃止しましたが、色覚検査を禁止するものではありません。ただし検査するには留意事項があります。その一部を引用します。

「色覚検査を実施する場合には、労働者に対し職務内容との関連性について十分な説明を行い、労働者の同意に基づいて適切に実施される必要がある。」

「色覚検査は現場における職務遂行能力を反映するものでないことに十分な注意が必要である。検査を行う場合でも、各事業場で用いられている色の判別が可能か否かを確認することで十分である。」

このことについて国土交通省ないしJR東日本御社はどのようにお考えでしょうか。ことは検査に当たりインフォームド・コンセントに関わります。御社の場合、これがどのように行われているか、また誰が色覚検査を実施しているのか、を含め、ご見解を承りたいと存じます。

(編集部)

 

お詫びと訂正

CMS Letter No.12 に誤りがありました。お詫びするとともに、以下のように訂正いたします。

                      誤                正

1ページ13行目      同界の北原副会長       同会の北原副会長

1ページ下から3行目   医師に最も重要な脂質は   医師に最も重要な資質は

3ページ下から3行目   警視庁長官           警察庁長官

                                                       (編集部)

HTML版では、訂正済みです)